“虐殺には文法がある”『虐殺器官』アニメ映画感想

虐殺器官 アニメ

『虐殺器官』は、急逝の天才作家、伊藤計劃の処女作です。

このアニメ映画は、その小説を映像化したもの。映像に迫力があって、とくに戦闘シーンは手に汗握ります。あと、近未来的なツールなんかも見ていて楽しい。これは、小説にはない実写やアニメのいいところです。そんなわけで、『虐殺器官』にでてくる“テクノロジー”に注目してみました。

 

テクノロジーの描写に注目!

 

この『虐殺器官』の見どころは、“テクノロジー”です。舞台は、現在よりもすこしだけ先の未来。そこでは徹底的な監視システムと個人認証により、平和な社会が実現しています。

 

今でも監視カメラや個人認証システムは存在しています。それがもっと進んだ様子です。SF作品というのは、“未来の可能性”を見せてくれます。そこに描かれているのは、クリエイターたちが想像力を振りしぼった末に生みだされたもの。

 

わたしたちはその未来を「疑似体験」させてもらえるのです。“未来旅行”と思うと、SF作品を見るのがさらに楽しくなってきませんか?

 

『虐殺器官』では、具体的にどんなテクノロジーが登場するのでしょうか。

自分が気づいたところをあげていきます。

 

人工筋肉

個人認証システム

ARインターフェース

 

人工筋肉

 

人工筋肉は作中の様々な場面でつかわれていました。たとえば、飲み物をはこぶロボット。

 

このロボットは、よく見るような“人型”ではありません。小さめのテーブルから人間の足がはえたような形をしていました。このテーブルの上に飲み物などをのせて、そのまま歩くのです。

 

その足に人工筋肉がつかわれているようです。二足歩行ロボットというのは、結構むずかしいといいます。現実でも、人間のようにスムーズに歩けるロボットは、まだ一つもありません。

 

そこで人工的に筋肉をつくって、人間の筋肉を模倣すれば同じようにあるけるのではないか、と考えたのでしょうね。発想はすごく面白いです。ですが、じっさいにこれが歩いていたらかなり気持ち悪いでしょうね(笑)。

 

「人工筋肉」は、ほかの場面でもつかわれていました。飛行機の翼の部分が「人工筋肉」でおおわれていたり、同じく飛行機内のシートベルトが「人工筋肉」だったり。

 

さらには、戦闘用の移動ポッド(?)にもつかわれていました。これは厳密には、動物の筋肉を再利用したものだったかもしれません。

 

いずれにせよ、筋肉というのはかなり使い勝手がいいものなんですね。わたしたちは普段、無意識のうちに使いこなしていますが。

 

個人認証システム

 

徹底的な管理・監視社会となった街では、生活のあらゆる場面で認証をもとめられます。買い物をしたり、契約を交わしたり、ピザを頼んだり、街なかの端末にアクセスするときもそうです。

 

ここまでくると、個人のプライバシーなどはないも同然ですね。まあそれと引き換えに“安全”を手に入れたわけなのですが。

 

スーパーマーケットでのお会計は、指紋で認証するだけ。とってもスムーズです。じつはこれ現実でもすでに実現していますよね。そうです、「アマゾン・ゴー」です。むしろスムーズさでいえば、「アマゾン・ゴー」のほうが上に見えました。

 

ARインターフェース

 

個人的にはこの技術に一番ワクワクします。メガネやゴーグルをつけるのではなく、視界にそのまま拡張現実が投影される。これはすごいです。

 

人間の視界だけど、カメラのようにズームインとアウトができたりします。人の顔を識別したり、

 

脳をいじくってどうにかしているのかと思いましたが、どうやらコンタクトレンズタイプのようです。ハイテクなコンタクトレンズといえば、『ミッション・インポッシブル4』にも出てきましたね。あれは、まばたきをするだけで写真を撮ることができるものでした。

 

人間の生体情報(指紋や顔)という個人情報を差し出すことによって、ここまで社会が便利になるのだという思考実験にも見えます。

 

ここまでテクノロジーの話ばかりしてしまいました。ですが、この作品のテーマはテクノロジーだけではないです。紛争や格差、そして人間の醜さ。

 

物語のテーマや発想が独特です。アイデアからのストーリーの切り出し方も奇抜で、いろいろと想像が膨らむ作品でした。