愛知県美術館がパブリックドメインを公開。他の美術館もこれに続いてもっと絵画が広まればいいと思う

イプセン『幽霊』からの一場面、エドヴァルド・ムンク、愛知県美術館 アート
イプセン『幽霊』からの一場面、エドヴァルド・ムンク、愛知県美術館

ネットで検索すると、パブリックドメインになっている絵画の画像があつまっているサイトがいくつか見つかります。

 

でも、だいたいどれも海外発のサイトなんですよね。別にそれでも使えなくはないんですが、利用規約とか読めないし、翻訳ソフトの正確さもイマイチだし。

 

なんで日本語のサイトで、パブリックドメイン絵画のサイトがないんだろうと思っていました。そしたら最近日本の美術館のひとつが重い腰を上げてやっとこパブリックドメインの公開を始めたみたいです。

 

ムンクもクリムトも画像開放 著作権切れ作品、自由に利用可 愛知県美「世界標準」試み:朝日新聞デジタル
 名古屋市の愛知県美術館が昨年11月から、収蔵品の画像をホームページで公開し、手続きなしで無料でダウンロードできるようにしている。著作権が切れ、「パブリックドメイン(PD、公有)」となった作品で、現在…

 

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愛知県美術館のコレクションで特に充実しているのは、国内外の20世紀美術です。世紀前半にヨーロッパで活躍したグスタフ・クリムト、パブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、マックス・エルンストなど、戦後アメリカで活躍したモーリス・ルイス、そして欧米の美術の影響を独自に咀嚼した日本近代の画家たちから、現代の日本を代表する作家たちの...

 

パブリックドメインのものは、著作権が切れたもの。著作権が切れているなら、自由にダウンロードしたり、二次利用したりできるというわけです。

 

パブリックドメインになれば、一般人にとっては絵画にふれる機会が増えていいことだと思います。パブリックドメインになった絵画Tシャツを作ったり、宣伝に使ったり。

 

そうすれば、絵画や画家の認知度が高まって、美術館や美術の本に興味をもつ人ももっと増えると思います。

 

それなのになぜ日本の美術館がパブリックドメインの公開を今までしなかったのかというと、

「画像を自由に利用できるようにすると、利用者はそれに満足し客足が落ちるのでは」

(朝日新聞、3月5日付)

という心配があったからだそう。

 

海外がどうかは知りませんが、正直日本の美術館はこのままだとジリ貧な気がします。

日本は世界でも美術館に行く人の数がトップクラスですが、それがいつまで続くかはわかりません。

 

日本の美術館に遊びに行くと、来場者の8割くらいはお年寄りです。

それも多分アートが好きで好きで仕方がないというわけではなく、リタイアして暇だしお金もかからないから美術館に行こうみたいなノリで来ている人も多いように見えます。

 

反対に、美術館にいって絵画を見ようとする若い人はほとんどいません。まあ今は暇つぶしのコンテンツが山ほどあるので、仕方ないですよね。

 

その若い人たちが、絵画などのアートにふれるいい機会になるのが、パブリックドメインなんです。

 

そもそも、デジタル処理をした画像と、美術館で見る生の絵画は迫力がまったくちがいます。一度でも目の前で絵画を見る体験をすると、ただの画像ではまったく満足できません。

 

ネットでちらっと画像を見て、なんとなく感覚で「いい絵だな」と思うことがあります。そのあと実際に美術館にいってその絵を見ると、画像を見たときの何倍も感動する

 

そういう感動をしてしまうと、もう画像では満足できなくなってしまいます。いくら画像を見ようが、また美術館に行きたくなる。美術館にいって生の絵画を見たくなる。

 

そういう体験も、絵画や美術館のことを知らなければできません。そもそも見に行こうとすら思いません。

 

実際、このニュースを見るまで、愛知県美術館のことを何も知りませんでした。

 

パブリックドメインを公開しなければ、絵画が広まることはほとんどありません。皆さんが日頃生活していて、あっちでもこっちでも絵画が目につくなんて状況はありませんよね。

 

目に入ればなんとなくでも興味がわきます。興味がわけば、検索したり調べます。すると絵画や美術館について知ることになり、ちょうど美術展がやっていたりすれば「じゃあ行ってみるか」となるわけです。

 

絵画については、画像で見ることと生で本物を観ることはまったくちがうことです。

 

なので、美術や美術館について知るきっかけにするためにも、日本の美術館にはパブリックドメインをどんどん公開してほしいですね。