「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」に行ってきたので感想レポートッ!!

アート

「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」は平日の午前中に行ったというのに、かなりの人の多さでした。漫画の原画展に遊びに行くのははじめてだったので、こんなに人気とは思いませんでした。原画展、美術展のブームが来ているというわけではなく、「JOJO」だからこその人気なのでしょう。

この「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」に展示されていたのは、漫画原稿の原画だけではありませんでした。スタンドや敵キャラクターのパネル、カラーイラスト原画、各部のメインンキャラクターと日本をテーマにした超大型パネル、名言が書かれた“のぼり”、荒木先生の創作術の紹介、展覧会描き下ろしの大型原画、大型原画のメイキング映像、そしてもちろん漫画本編の原画。

 

とても混んでいたので、会場の中を行ったり来たりしながら、「JOJO」の世界を堪能できました。ぜんぶで3時間ほど会場にいましたが、それでも名残惜しさをかんじてしまいました。きっと一日中いたとしても「まだ見たい!」と思ったことでしょう。それほどまでにこの原画展には“求心力”があるッ!

 

展示スペース「ジョジョリロン」で見られる、荒木先生の創作秘話はとても面白かった。『ジョジョ』を描くにあたっては、宗教画などの西洋美術からもアイデアを得ているのだとか。

 

『ジョジョ』の特徴の一つであるキャラクターの“ポージング”、いわゆる“ジョジョ立ち”。このポージングも、たとえばミケランジェロの彫刻から“引用”しているそうです。西洋美術を取り込んで、それを漫画として再構成している。“ジョジョ立ち”には奇抜さだけじゃなくて、どこか美しさも感じられるのはそういった理由もあるのかもしれません。

 

一枚絵としての「迫力」

© 荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

『ジョジョ』の登場キャラクターたちは、「一枚絵」でもよく映えていました。その理由にはもちろん“ジョジョ立ち”があります。普通の人間ならばまずしないであろう、というようなポーズ。腕や足がありえないような角度で曲がっていたりします。しかし、トンデモ感はありません。妙に様になっているし、むしろカッコよさすらかんじてしまうのです。

 

西洋の彫刻やモデルといった異分野の要素を取り込んで消化して、そして漫画という一つの作品世界に昇華させている。これはもう完璧な引用のお手本でしょう。

 

漫画家は芸術家である

 

この展覧会で荒木先生の原画を見ていて、漫画家というのは芸術家なのだ、と本当に思いました。

 

漫画というのは、ほとんどの場合“絵”と一緒に“物語”があります。もちろん絵画にも物語はあるのでしょうが、漫画ほどわかりやすくはありません。一枚の絵画から、作者の意図やその絵には何が描かれているのか、何を表現しようとしているのかを読みとるのは意外とむずかしいものです。

 

漫画はそういった意味でわかりやすく身近なものになっています。でもそれは、けっして「漫画には“絵”としての魅力がない」という意味ではありません。漫画の絵は、物語のおまけではない。物語がないと成立しないものでもない。ある一シーンだけ切り取っても、絵としての迫力がある。読者を引き込ませる魅力がある。そんなことを『ジョジョ』の原画を見ながら思いました。

 

構図の「上手さ」、影の使いかたの「巧みさ」

 

漫画の一ページを切り取ったものなのに、それを一枚の絵として認識してしまう。そこではじめて、構図や影の使いかたなどがちゃんと考えられている(当たり前なのかもしれませんが。それでもやっぱりすごい)ということに気づきます。

 

画家と漫画家とはべつものだと思ってしまいがちです。いやたしかにべつではあります。漫画を読む(見る)ときと絵画を見るときでは、真剣度がちがいます。気軽に楽しめるのは漫画のいいところではあります。が、漫画の絵だってよくよく見てみると発見があります。

 

簡単に描かれているように見えても、構図はきちんと考えられているのがわかります。キャラクターの並べ方や表情、しぐさなど生き生きとした“絵”を描くのはそう簡単なことではないはずなのです。

 

「絵画」にはなくて「漫画」にあるもの。それは“動き”です。漫画で描かれるのは、止まっているシーンばかりではありません。とくにバトルシーン(登場キャラクターたちが己の肉体や特殊能力をつかって闘う場面。ジョジョでは「波紋」や「スタンド(幽波紋)」をつかう)というものは、絵画ではみられない漫画特有のものでしょう。

 

止まっている絵なのに、動いているシーンを描かなければならないという“矛盾”。映画やアニメなら、カメラやキャラクターの動きそのもので躍動感をだすことができます。でも漫画ではそれができない。

 

それを見ている人の頭のなかで勝手に動作が補完されていくような、動いていると錯覚を起こしてしまうような。それが漫画にしかない表現の仕方だと思いました。

 

作中のバトルシーンでは、その勢いにのめり込んでしまって、ついついページをめくるのがはやくなってしまいます。でもたまにはじっくり見てみると、その情報量の多さにおどろきます。一瞬パッとみただけで、どんな動作をしているのかわからないといけない。勢いをおとさないようにしつつも、絵としての迫力もだす。漫画というのは見れば見るほど奥が深いです。

 

カラーの塗りがすごい!

© 荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

漫画の塗りは、基本的に“モノクロ”です。カラーの絵というのはほとんどないのではない気がします。単行本(コミックス)の表紙くらいでしょうか。しかしこの原画展では、たくさんのカラーイラストを一度にお目にかかることができました。

 

原画展では、何枚ものカラーイラストが展示されていたわけですが、とにかくすごい!どの絵も見ている人に新鮮さを与えてくれるし、つまらない絵が一つもないのです。

 

荒木先生のカラーイラストの特徴といえば、その色彩の“奇妙さ”です。空の色を「ピンク」にするなんて、普通じゃあない!でも不思議と拒否感のようなものはかんじません。むしろそれが一つの秩序になっている。

 

個性あるキャラクターに特徴的なポージング、そして奇抜な色彩。これらが一つになって「ジョジョの世界」をつくりあげているのかもしれません。

 

結論:『ジョジョ』が好きだ

 

この原画展にいって、あらためて『ジョジョの奇妙な冒険』という作品を好きになりました。この漫画大国、日本に生まれたことも本当に幸運でした。国といえば、外国の人もわりと来ていました。欧米の人からアジアっぽい人まで。

 

今回の展覧会は、『ジョジョ』だけではなくて、漫画というメディアそのものの奥深さとか可能性というものに気づかせてくれました。