愉快な銀行強盗たちが「文庫」になって帰ってきた!『陽気なギャングは三つ数えろ』感想

本・書評

文庫版で数えれば、約10年ぶりの「陽気なギャング」シリーズの新作です。

本当に待ちに待っていました。正直このシリーズは前の二作で終わりかとも思っていました。

 

ですが、同シリーズの続編を書いてくれた。ファンとしては純粋にうれしくて、ウッキウキです。

「ギャング」って犯罪者じゃ……

 

ギャングとは、日本語で言えば「強盗」とか「犯罪集団」みたいなう意味です。

なので世間一般からすれば、“悪者”ということになります。ただ彼らには、悪びれるところがまったくといっていいいほどない。なぜなら彼は“陽気なギャング”だからです。

 

べつに、頭のおかしいサイコパス集団というわけでもないです。

むしろ、頭が切れてユーモアがあって人間的な優しさすらもっている。そして、ギャングが“善”だと思ってるわけでもないんですね。

 

陽気なギャングたちがどんな犯罪を犯すのかといえば、それは「銀行強盗」です。銀行員をおどして銀行の金庫からお金を盗み出す、あれです。銀行強盗のメンバーは4人。彼らはそれぞれ“特殊能力”のようなものをもっています。

 

リーダーの成瀬は、ひとの嘘を見抜くことができる

響野は、演説が得意

雪子は、完璧に正確な体内時計をもつ

久遠は、他人のものを盗む“スリ”の達人

 

あれ、ひとりだけ特殊能力じゃないような……。

 

ともあれ、このユニークな4人組のギャングが銀行強盗を決行するのです。

 

きちんと銀行の下見をし、周辺の地形を確認して、逃走ルートを何度もシミュレーションする。犯罪集団といっても、思いつきで場当たり的な犯行などはしません。用意周到でとてもスマートなギャングなのです。

 

『オーシャンズ11』と『陽気なギャング』の共通点

 

スマートでかっこいい強盗といえば、何かを思い出しませんか。あの有名なハリウッド映画を。そうです、『オーシャンズ11』です。

 

あっちはもっと数が多いですが、「オーシャンズ」も同じギャングです。

かっこいい音楽と演出で忘れそうになりますが、彼らもようは“犯罪集団”です。

 

『陽気なギャング』を読んでいる途中で、『オーシャンズ』に似ているかもしれない、と気づいてしまいました。といっても、ストーリーや設定はまったく違います。

じゃあ、どんなところが似ているのか。

 

少し考えてみると共通点が見つかりました。

綿密な計画、周到な準備、メンバーそれぞれに役割があり、基本的には計画を楽しんでいる。そして何より“ユーモア”がある。『オーシャンズ』にはもちろん、『陽気なギャング』にも“ユーモア”があります。

 

楽天的でユーモアがある

 

“ユーモア”というものは大切です。『陽気なギャング』は、主人公たちが犯罪集団なのにどよんとした空気にはなりません。

基本的にはみんな楽天的で、楽しげな雰囲気すらあります。いや、銀行強盗は犯罪なんですがね。

 

ピンチもさほどピンチにならない。読者のほうにも、“彼ら”ならやってくれるだろうという謎の安心感がある。

 

ギャング側の登場人物たちは、みんな危機感があまりなくて、楽観的で、“陽気”。

そんなところが、この小説を面白くしているのかもしれません。

 

徹底的に読者を楽しませてくれる作品

 

キャラクター設定ストーリー

このふたつがエンターテイメントに特化しています。はじめの二作を読んでいるときには気がつきませんでしたが、この小説は並ではありません。

 

コメディ要素もありつつ、サスペンス映画のようでもある。読んでいてただひたすら楽しい。そういう作品です。

 

陽気なギャングシリーズは現在3作

 

どの巻から読んでも楽しめますが、一応最初から順に時系列になっています。

 

一作目:陽気なギャングが地球を回す

二作目:陽気なギャングの日常と襲撃

三作目:陽気なギャングは三つ数えろ