ファンタジーの新境地『図書館の魔女 第四巻』書評

本・書評

圧倒的。壮絶な物語だった。ここまで重厚感のある小説は読んだことがない。文庫版(最初単行本で発売され、のちに文庫化した)の全四巻は蛇足感がまったくありません。最初から最後まで濃密な物語がぎっしりとつまっていました。

 

『図書館の魔女』は、シリーズ累計で40万部(売り上げなのか発行部数なのかはわからない)を突破しているらしいです。小説で40万部もいけば、文句なしの大ヒットです。けれどもこの物語を読み終わった身としては、すくない!と感じてしまいす。その倍以上、100万部はいっていい。もちろん、40万部でもかなりすごいのでしょうが。

 

世界観の構築が上手い

 

『図書館の魔女』は、ファンタジーとして読ませるための、世界観の構築が上手くできています。著者みずから、小説の舞台の概略地図を作成しているくらいですし。RPGのように、マップのすべての場所にいくわけではなく、作中に登場したのはそのうちの一部です。それでも、おそらくそれぞれの地域のおおまかな設定もきちんとしているはずです。

 

小説というのは、設定がちゃんとしていれば、いくらでも物語をふくらませられるのではないのか?そう思わせられるほど、読んでいると、この世界がどこまでも広がっている感覚を味わえるのです。

 

というわけで、『図書館の魔女』はぜひともシリーズ化してほしいなと思いました。この濃厚な物語を書くのには、それなりの時間と労力がかかるでしょうから、すぐにはむずかしいかもしれませんが。

 

日本語が原著の小説

 

この小説は、日本語で書かれたものを日本語で読むことにこそ意味がある、と思います。日本語にしかない言葉、日本語にしかない表現があると思うから。この濃密な小説を描ける作家が日本人にいたことがとても嬉しいです。もちろん、海外の作家が嫌いというわけではないです。

 

翻訳には翻訳のリズムがあって、日本語にも日本語のリズムがある。本には、著者が考えていることや伝えたいことなどが書かれています。そして日本語が原著の本なら、それらをこぼすことなく100%そのまま読むことができるのです。これは当たり前のようで、すごくありがたいことだと思います。

 

『図書館の魔女』にさらなる続編はあるのか?

 

この『図書館の魔女』には続編(外伝?)があります。『図書館の魔女 烏の伝言』です。一作目が好評だったから、出版社から書いてくれ、と言われたのかもしれません。あるいは、はじめから著者の構想にあったのかもしれません。文庫の見返しにある紹介文では、『烏の伝言』が“シリーズ第二作”と表現されています。なのでもしかすると、さらに続きが見られる(読める)かもしれませんね。

 

「図書館の魔女」でネット検索していたら、こんなページを見つけました。講談社の担当者のインタビューの一部です。

 

(質問)今後の刊行スケジュールを教えてください。

(回答)現在、受賞作の続編に取り組まれています。また、民俗学的なモチーフを用いた作品も構想されていますので、これからの活躍にもどうぞご期待ください。

 

「受賞作の続編」とは、もちろん『烏の伝言』のことでしょう。そして、「民俗学的なモチーフを用いた作品」もすでに考えていると。現時点ではすでに執筆に取りかかっているかもしれない。これは、『図書館の魔女』シリーズになるのでしょうか。それともまたぜんぜんべつの物語なのか。

 

「これからの活躍」とあるから、その後も作品を発表し続けてくれるのかもしれない。『図書館の魔女』のような大作がまた読めるのかと思うと大いに期待がふくらみます。

 

『図書館の魔女 文庫版 第四巻』高田大介 講談社文庫