本当に重要なものだけを選ぶ。『エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする』書評

本・書評

「時間がない」というのは、わたしたち現代人の口癖になっています。「本を読みたいけど時間がない」「旅行に行きたいけど時間がない」「部屋を片付けたいけど時間がない」。

 

「時間がない」と誰かにいえば、こう返ってくるかもしれません。「時間は自分でつくるものだよ」と。たしかにその通りです。でもじゃあどうやって自分の時間をつくればいいのでしょう。

 

それには「時間の原則」を知っておくことが必要です。それは「トレードオフ」です。

 

サッカーをしながら野球をすることはできません。眠りながらゲームをすることもできません。本を読む時間を増やしたければ、飲み会は断ったほうがいいでしょう。

 

つまり、何かをしたければ、べつの何かをあきらめないといけない。これが「トレードオフ」です。「トレードオフ」は人生のあらゆるところにかかわっています。じつは普段の生活のなかでも、わたしたちは無意識のうちに、「トレードオフ」にもとづいて「選択」をくり返しています。

 

本当に大切なことを見極め、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込む余地はなくなる。

 

エッセンシャル思考は、より多くのことをやり遂げる技術ではない。正しいことをやり遂げる技術だ。もちろん、少なければいいというものでもない。自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるのが、エッセンシャル思考の狙いである

 

いくつかの(たくさんではない)大事なことだけに自分の時間と労力をつかう。そして最大の成果をえる。これがエッセンシャル思考です。

 

数ある選択肢のなかから、自分にとって本当に大事なものを選びとる。選択肢のほとんどはノイズでしかありません。どれをえらぶかは簡単です。「自分が大好きなこと」をえらべばいいのです。

 

わたしたちは、より多くのモノ、より多くの人に囲まれて生きるほうが幸せだと思ってしまいがちです。でもそれでは本当に大事なものが見えなくなってしまう。それよりも、少数の重要なものに何倍もの情熱を注いだほうがいい。何かをとるには何かを捨てなければならないのです。

 

その最たるものが「時間」というわけです。

 

自分の力を最大限発揮するためには、誰にも邪魔されない環境が必要なのだ

 

エッセンシャル思考に不可欠なのは次の5つだといいます。

じっくりと考える時間、情報を集める時間、遊び心、十分な睡眠、何を選ぶかという厳密な基準

 

このなかでは、とくに「遊び心」には納得がいかないかもしれません。ですが、遊びが人間のさまざまな面にいい影響を与えるという研究結果もあるのです。

遊ぶと体が健康になり、人間関係が改善され、頭が良くなり、イノベーションが起こしやすくなる

遊びは脳の柔軟性と順応性を高め、創造的にしてくれます

 

遊びと仕事は正反対のものだと思ってしまいます。「遊んでないで勉強しなさい」「仕事に遊びを取り入れるなんてとんでもない」。でも仕事にこそ遊びが必要です。いい結果を出したければ、「遊び」を上手く取り入れるのがいいのです。

 

たとえば、小説などの物語を読んで空想をふくらませるのも、遊びのひとつでしょう。

遊びはストレスを軽減してくれる。ストレスは生産性を下げ、好奇心や創造性の働きを弱める

 

「遊び心」をわすれない。これは自分の時間を取り戻すための第一歩なのです。

 

『エッセンシャル思考』グレッッグ・マキューン かんき出版