グルメ漫画とは、「食事」をテーマにした漫画全般のこと。
本書ではそのグルメ漫画の歴史を振り返って、重要な作品やターニングポイントになった作品を取り上げています。
グルメ漫画の歴史を学びつつ、各作品のレビューも読めるお得な本です。
グルメ漫画(料理漫画)が好きな人、昔の作品を知りたい人におすすめです。
グルメ漫画はどんどんニッチになっている
最近のグルメ漫画は、変わり種のものが増えています。
ギャルが先生と一緒に作ったり、
挙句の果てに、異世界に行っちゃったり。
ただ料理をを作ったり、ただ料理を食べたりするだけにとどまらなくなってますよね。
そんな突拍子もないような状況も、グルメ漫画の歴史全体を俯瞰してみると、時代の流れがちゃんとあることがわかります。
グルメ漫画はアニメにもなっています。
最近だと、
『幸腹グラフィティ』
『食戟のソーマ』
ちょっと前だと、
『焼きたて!!ジャぱん』
さらに前だと、
『美味しんぼ』
などがありますね。
漫画は白黒です。
文章では説明できても、色でわかる見た目のおいしさは伝わりづらいところがあります。
そこでアニメです。
アニメなら、漫画では表現できなかった料理の色、作るときの動きなどを伝えることができます。料理漫画ほど、アニメ化に向いているジャンルはない、とすら思います。
食戟のソーマのPV
この本を読んでいると、
「料理漫画ってこんなにたくさんあったのか!」と驚きます。
2017年の時点で、毎月30作品以上の単行本が発売されているのです。料理漫画だけで。
いまだと、もっと増えてそうですね。
現実の歴史とリンクしているグルメ漫画
グルメ漫画の内容が、現実の歴史と連動しているのが面白いところです。
たとえば、電気炊飯器。
いまとなってはごく当たり前の家電です。
米と水を入れてスイッチを押せば、ホカホカご飯が炊けるあれです。
この炊飯器が登場したのが、1950年代。
そこから10年くらいで一般家庭にも浸透したそうです。
炊飯器の歴史とグルメ漫画がいったい何の関係があるのか。
人々の食に対する意識が変わりました。
便利な電気調理器具が登場したことで、家庭における料理が、つらい労働から楽しいものになったのです。まあようは楽できるようになって、余裕が生まれたんですね。
そして、グルメ漫画が登場したのが1970年代。
電気炊飯器が登場して、家庭に行き渡ったちょうどそのあとです。
グルメ漫画の歴史を見ていて感じたこと。
それは、どの作品も「ちょっとでもすでにあるグルメ漫画とちがうものを」という精神で描かれていることです。
この、ほかのグルメ漫画とは少しだけちがうものを
がいくつも積み重なった結果が、いまの細分化されたグルメ漫画の現状なのだと思います。
異世界にいったり、ギャルがご飯を作ったり、リアクション芸に振り切ったり…
それはそれで面白くて好きですけどね。
最近のそういう一癖あるようなグルメ漫画に慣れていると、少し前の作品が逆に新鮮に感じられたりします。
料理を作って、食べて、感想をいう。
とてもストレートな分、わかりやすくて面白いのです。
『美味しんぼ』のことなんですけどね。
美味しんぼア・ラ・カルト 2 うまさの定番!ラーメン&餃子 (ビッグコミックススペシャル)
本当に絵の古さが気にならないほど、面白いグルメ漫画ですよね。
『美味しんぼ』は30年以上連載がつづいている作品です。
連載開始は1983年。2018年現在は休載中です。
2010年代は、東日本大震災に関する描写で、物議をかもしました。
1980年代は、作品の人気によって1億総グルメブームが加速しました。
さらに、『美味しんぼ』が大ヒットしたことで、その後グルメ漫画がたくさん生まれることにもなりました。
良くも悪くも、時代に影響を与えてきた作品なんですね。
まとめ:グルメ漫画はこれからも増えていく
料理漫画(グルメ漫画)は好きです。
見た目がきれいな料理は見ているだけで楽しいです。
コンビニ弁当を買っているだけじゃあわからないことをたくさん知れます。
調理方法のことや食材のこと。体の健康のこと。
料理漫画のジャンルは、今後ますます細分化していきそうです。
異世界の次は一体どこへ行くのか。
海底に行ったり、地中へ行ったり……あるいはもう地球を飛び出して宇宙で料理をしだすかもしれませんね。
ともあれ、
・面白い
この2つの要素があれば、どんな形のグルメ漫画が誕生しても楽しめる気がしますね。