こうすれば相手にわかってもらえる!『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』感想

本・書評

「この本なんか、むずかしくてわかりづらいなあ」「この人、何がいいたいのか全然わからない……」こんな経験はないでしょうか。わたしはあります。何度もあります。

 

わかりにくい本や人を見るたびに、「なんでもっとわかりやすい表現をしないんだろう」などと思っていました。ですが、いざ自分が書きはじめると、あることに気づきます。それは、「わかりやすく伝えるって意外とむずかしい」ということです。

 

説明するのはむずかしい?

 

人の“粗(あら)”を探しているうちは簡単だし気楽です。けれど説明する側にまわるとそう簡単にはいきません。そこで「本」に助けを求めることにしました。

 

本書『「分かりやすい説明」のルール』は、わかりやすく説明をしたい人に向けた本です。はい、そのままです。

 

わかりやすく話したいのに、上手くできない。読みやすい文章を書きたいのに、どうしてもこむずかしくなってしまう。でもこのままでは嫌だから改善したい、という人におすすめです。

 

 

 

相手にとっての「わかりやすさ」を意識する

 

わたしたちは日常的に、文章を書いたり、だれかと話をしたりします。そのときに、相手が一発で理解できるような「わかりやすさ」を意識しているでしょうか。わかりにくい説明は、「相手にとってわかりやすいか」を意識するだけで、ぐっとわかりやすくなるといいます。

 

本書で紹介されているのは、小手先のテクニックではありません。「分かりやすい説明」のために重要なのは、書いたり話したりする“内容”と“構成”です。「です・ます調」で書くだとか、間をとってゆっくり話す、というようなことではないのです。これらはあくまでもテクニック。「わかりやすさ」の助けにはなっても、「わかりやすさ」そのものにはならないのです。

 

「分かりやすい説明」をするために必要な3つのこと

 

ではどうすれば、「分かりやすい説明」をすることができるのか。「分かりやすい説明」は、次の3つの条件を満たしているものだといいます。

 

1、何のテーマについて話しているのかが分かる

2、説明に使われる日本語が分かる

3、説明の中の論理が分かる

 

3つ目の「説明の中の論理が分かる」とは、どういうことでしょうか。

これは、説明を聞いた人に疑問が残らないようにするということです。説明に論理をもたせるためには、「説明を省略しない」ことが必要です。

 

誰かに説明しているときの自分は、自分の言いたいことを100%理解しています。当然ですが。なので、ついつい説明すべきことを省いてしまったりする。「言わなくても相手はなんとなくわかってくれるだろう」と。いいえ、わかりません。

 

書く(あるいは話す)と読む。この両方をやってみるとわかることがあります。それは、読み手は文章のすべてをくまなく読んでいるわけではない、ということです。わりと覚えがある人も多いのではないでしょうか。飛ばし読みが悪いというわけではありません。

 

ただでさえ、全部読まれるわけではないのに、説明すべきことを省略したらどうなるか。

言いたいことの半分も伝わらないでしょう。

 

相手に伝わるのは、自分が書いたり話したりしたことだけです。相手には、こっちの考えていることまではわかりません。だから、説明したい情報をもれなく、すべて伝えることが必要なのです。

 

わかりやすさを決めるのは“相手”

 

さらに「分かりやすい説明」をするために、重要なことがあります。それは「分かりやすさ」を判断するのは、自分ではなく“相手”だということです。

 

だから、一生懸命考えても、いくら努力しても、自分目線の説明から抜け出せていなければ、分かりやすくはできないんです。

 

「分かりやすい説明」を実践するのはかなりむずかしそうだ、と思ったかもしれません。自分は頭もよくないし、有名大学を出たわけでもないし。ここで朗報です。「分かりやすい説明」をするのに、「頭のよさ」も「学歴」も必要ありません。

 

必要なのは、「相手に理解してもらいたいと思う意識」をもつことだけです。

 

それだけで本当に「分かりやすい説明」ができるようになるのでしょうか。なります。なぜなら、

 

意識を変えれば、「相手が理解できているかどうか」を常に気にしながら説明を展開していけるようになるからです。

 

わかりづらい専門用語はなるべく使わない。改行やスペースをいれて見やすくする。見出しをつけるなどをして、「できるだけ相手に伝わるように工夫をするようになる」のです。

 

「頭がよくない」はむしろメリット

 

「天才は教師に向かない」という言葉に、いいヒントが隠されています。それは、「自分が簡単に理解できてしまうと、相手の理解できないポイントが分からない」ということ。

 

これは逆に言えば、頭のよくない人のほうがむしろ、相手はどこがわからないのかを理解できるということです。きちんと理解するためにはどこを押さえればいいのかをわかっている、ということなのです。頭のよくない人のほうが、情報を受け取る人の気持ちになれる。相手の気持になれば、わかりやすい説明をすることができる。こういう寸法です。

 

“意識”だけで変えられる

 

「分かりやすい説明」をするために心がけることは、ざっくり言えばひとつだけです。それは、

相手に理解してもらいたいという意識

でした。

明日、いきなり完璧にできるようにはならないかもしれません。でも、今日から気をつけることはできます。わかりづらいことを言っている人よりは、わかりやすく話してくれる人のほうが好ましいはずです。