知識なしでアートを10倍楽しむ方法『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』書評・感想

ファン・ゴッホ《星月夜》 アート
ファン・ゴッホ《星月夜》

 

アートとビジネスを結びつけて考える

アートをビジネスに活かす

 

これがいまの世の中の流れみたいです。

なぜかというと、最近、ビジネスとアートを関連させた本を書店でよく見かけるからです。

 

たとえば、

『ビジネスの限界はアートで超えろ!』

関連記事:仕事の壁をぶち破るにはアートの力が必要だ『ビジネスの限界はアートで超えろ!』書評・感想

 

『世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること』

などです。

どちらも今年の10月に出版された本です。

 

同じ着眼点の本が、ちょうど同じタイミングで発売されるのは面白いですね。

 

この記事で紹介する本は、

『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』

です。

 

発売は今年の9月。

本当に集中しています。アート&ビジネス本が。

 

ビジネスで行き詰まって、何か打開策をさがしている人が多いのか。

たまたま同じ時期に、ビジネスとアートの関係性に注目した人がいたのか。

アートの価値が、いままた見直されようとしているのか。

 

いろいろ理由は考えられます。

 

ともあれ、この本によると、

 

世界のエリートと呼ばれる人たちは、人生や仕事で役立つ能力をの明日ために美術鑑賞を行っている

 

んだそうです。

 

エリートといえば、とにかく日々忙しく仕事をしているイメージがありますよね。

そんな超忙しい人たちが、その忙しい合間をぬって美術鑑賞をしている。

 

それはいったいなぜなのか?
どうして、美術鑑賞が仕事にいい影響をあたえるのか?

 

こんな疑問に答えてくれるのが、本書です。

 

本書は、

 

「美術館で絵画や彫刻を見るのが好きだけど、自分がちゃんと鑑賞できているのかわからない」

「自分の仕事にはなんの関係もないから敬遠していたけど、じつはアートに興味がある」

 

こんな人におすすめです。

 

ちなみに、「どう見るか」についての本なので、画家や絵画についての解説などは一切ないです。むしろ、そういったアートの背景に頼らずに、生身の自分でアート作品と向き合うことを教えてくれます。

 

 

アートとビジネスにいったい何の関係が?

 

まずは、アートがビジネスにどういう影響があるのか、です。

 

美術鑑賞には、

観察力、批判的思考力、言語能力

を伸ばす効果があります。

 

「この絵には何が描かれているのだろうか」

「この絵の状況は何だろう」

「どうしてこの絵が好き・気になるんだろう」

 

こんなことを考えながら絵画を観ることで、観察力思考力が養われるんですね。

そして、頭の中で漠然と考えていることを誰かに話したり、文章に書いたりして言語化する。

 

こうしたことがそのまま仕事にも役立つというわけです。

 

アート作品からは、「問い」を受け取る

 

アート作品は、「答え」ではなく「問い」を投げかける、といいます。

 

自分が絵を観て、

 

「なぜこの風景を選んで描いたのだろう」とか

「どうしてこの人はそっぽを向いているのだろう」とか

 

そういう純粋にアート作品からメッセージを受け取るのです。

 

自分で問題を見つけて、それについて考えていくこと。

 

これがまさに、仕事や人生において必要な能力です。

 

アート作品には、じつはそういう役割もある。

画家の意図したとおりに絵を観ることだけが、正解じゃないんですね。

 

世界のエリートたちは、そのことに気づいているから、忙しくてもせっせと美術館に行くのでしょう。

 

生とデジタルのちがいは“解像度”

 

思えば、これだけデジタル化が進んでも、美術館にいって生でアート作品を鑑賞する人はいなくなりませんよね。

絵画なら、スマホやPCで画像をいくらでも見られるのに。

 

これは、“解像度”がちがうからだと思っています。

 

スマホで画像検索して見る絵画と、美術館にいって生で観る絵画は、解像度がちがいます。

 

画像はデジタル処理されています。

 

デジカメやスマホのカメラがいくら高性能になったとはいえ、人間の目にはおよびません。

それは実際に絵画の前に立つと、よくわかります。

 

生で観たほうが受け取れる情報量が圧倒的に多い。だから、その絵画から得られる気づきも多いのです

いろんなことに気づくことができれば、それだけたくさんのことを考えられます。

 

ビジネス風にいえば、「問題発見能力」とか「問題解決能力」が鍛えられるわけです。

 

まとめ:知識がなくてもアート作品は見れるし、むしろそれでいい

 

わたしは、美術館にいく前に、ついつい本を読んで知識をたくわえようとしてしまいます。

それは悪いことではないにせよ、アート作品は、事前の知識がなくても楽しめるもの。

 

そして自分で疑問を持ったり、考えたりしながら作品を鑑賞することで、仕事や人生に活かせることがわかりました。

 

本書のなかでは、「アート」「アート作品」を区別しています。

 

アート作品は、絵画や彫刻なのど作品そのもの

そしてアートは、アート作品とそれを鑑賞する人とのコミュニケーション

美術展を見に来た人が1枚の絵の前にいる時間は、平均して10だそうです。

これじゃああまりに短いです。まともな“対話”はできませんよね。

 

すべての絵画を何分もかけて見なくてもいいと思います。

 

自分が好きだと思ったものを立ち止まってじっくり観てみる。

近づいたり、ちょっと離れたり。正面から観たり、斜めから観たり。

 

アート作品に「正解」はないので、気負う必要はまったくありません。

友人と話すくらいの気安さでいいと思います。

 

あなたも美術館に行ったら、ぜひ気に入った絵画とじっくり対話してみてください。