ピエール・ボナールはどんな人?絵画の特徴とかをしらべてみた

ピエール・ボナール、自画像 アート

「ピエール・ボナール展」に行くまえに予習をしようと思ったのですが、ボナールについて書かれた本が意外と少ないんですよね。

ボナールのことを書いている本はもっとあるのでしょうが、ボナールだけを取り上げた本は意外とない。

 

そんな中で、ボナールだけを取り上げた本、しかも最近の本がありました。

『もっと知りたい ボナール 生涯と作品』です。

 

 

タイトルの通り、ピエール・ボナールの生涯と絵画について、わかりやすい説明がされています。ボナール展に行くならこれ1冊を読んでおけばとりあえず大丈夫そうです。

 

ボナールの生まれから、ナビ派の結成、日本美術からの影響。

さらには、モチーフごとの絵画の解説もあります。自然や人、室内、裸婦、動物、自画像。モチーフごとに見ると特徴などがわかりやすいです。

 

というわけで、この記事ではボナールについて気になったことをまとめていきます。

 

日本美術の影響を大きく受けたボナール

 

葛飾北斎、富嶽三十六景、神奈川沖浪裏

日本美術といえば、浮世絵

 

ボナールは浮世絵に感化されて、自身の絵画制作に活かしていました。

たしかに、絵が平面的なところなんかは浮世絵そっくりです。浮世絵からの影響も納得ですね。

 

でも、ボナール絵画の装飾性というのは、本当に浮世絵の影響なのでしょうか。

 

ボナールの絵画はたしかに装飾的です。が、浮世絵って装飾的でしょうか。

 

浮世絵は、庶民の生活をそのまま写し取ったようなところがあります。

装飾性、画面としての美しさが重視されているようには思えないのですが…

 

屏風を思わせる縦長の構図や、平板な色面構成、遠近表現には、浮世絵からの影響がみられます。

ピエール・ボナール展 オルセー美術館特別企画|国立新美術館

 

ボナール絵画の特徴の一つ、強烈な色彩

 

わたしがはじめて見たボナールの絵画は、《ミモザのある階段》でした。

 

http://www.polamuseum.or.jp/collection/006-0363/

(ポーラ美術館のwebサイト、《ミモザのある階段》に飛びます)

 

この絵はかなり強烈です。

カンヴァスの上にいくつもの色が氾濫しています。なんというか、見ているだけで不安になってきます。

 

とにかくいろんな種類の絵の具をもってきて、それそのままカンヴァスの上にぶちまけたかのような。そんな絵に衝撃を受けました。正直にいうと、気持ち悪いとすら思いました。

 

しかしこれは、庭にある木々や花などの自然が、光を受けて輝いているさまを描いているのだそうです。ただ、意味もなくたくさんの色をつかっているわけじゃないんですね。

 

さらに、ボナールの主観がかなり入っていそうです。実際の光景を見て、この絵を描けるのは、ボナールだけだと思います。

 

裸婦画も多く描いたボナール

 

ボナールは、風景の絵画だけでなく、室内の裸婦画もたくさん描きました。

 

ボナールの裸婦画には、身近さを感じます。

モデルの女性がほとんどこっちを向いていないこと

とくにポーズを取ったりしてないこと

などが理由です。

 

もっとも多くのモデルをつとめたのが、マルトという後にボナールの妻となる女性だったそうです。

マルトはお風呂に入るのがとにかく好きで、一日のうちに何度も入浴をしていたのだとか。

だから、浴室での裸婦画も多くあります。ボナールにとっては、ありふれた日常の光景だったんですね。

 

モデルが裸になりベッドに横になって、画家のためにポーズをとるというのは、どちらかといえば非日常です。

それがボナールの裸婦画では、あくまで日常を切り取ったものになっているのが面白いですね。

 

室内の裸婦もあります。

《ベッドでまどろむ少女》や《午睡》です。

 

ピエール・ボナール、ベッドでまどろむ少女

《ベッドでまどろむ少女》

ピエール・ボナール、午睡

《午睡》

 

どちらもベッドの上でまどろむ女性が描かれています。

神話の女神とはまったくちがう素のままの女性です。本当に日常をそのまま切り取ったかのような構図。

 

描かれているのは、裸婦だけではありません。

まわりにある、ベッドやシーツや壁紙のなかに裸婦も溶け込んでいる。だから余計に、見てはいけないものを見ているかのような背徳感があります。

 

室内のものを好んで描いたボナール

 

一見するとありふれた室内には、人工的な照明や独特のフレーミングによって、親密さと同時にどこか謎めいた雰囲気がただよっています。そこでは、燃えあがる色彩によって、慣れ親しんだモティーフが未知のものへと変貌を遂げているようです。

ピエール・ボナール展 オルセー美術館特別企画|国立新美術館

 

ボナールの絵画をザーッと見ていくと、後期になればなるほど、色彩が豊かになっていきます。

 

若い頃の風景画を見ると、まるで印象派のようです。

色がたくさんつかわれているわけでもなく、室内の裸婦を描いているわけでもない。

ただありのままの自然を描き出しています。

 

そこから数十年後の絵画は、印象派とは似ても似つかないまったくべつのものになっている。

 

この色彩が、ありふれた室内というモチーフを特別な非日常なものにしています

ただの部屋のなかなのに、見ているだけで楽しい絵になっている。

 

室内と平面性は相性が良いように思います。

 

ボナールの装飾性について

 

自分たちを“アール・ヌーヴォー(新しい芸術)”の騎手だと言い、その先駆的な到来を予言する人として、聖書の中に出てくる「預言者」を意味する「ナビ」という名前をつけています。“これからは、わたしたちの時代が到来する”ということを予言して、「ナビ派」と名乗ったのです。

また、その前から始まっていた「印象派」は、自然主義で、自然を見て描く表現でしたが、それとは異なる、装飾的な新しいアートを自分たちはつくるんだ、という意気込みがありました。」

「ナビ派」とは?ボナールの作品に見られる日本美術の影響とは?

 

このページが先程の疑問を解消してくれました。

ボナール絵画の装飾性は浮世絵の影響なのか?という疑問です。

 

装飾性は、浮世絵の影響というより、もともと「ナビ派」の思想だったみたいですね。

と思ったら、その下にこうありました。

 

ボナールが日本の芸術家から手に入れたのは、絵の表面にかたちを無造作に並べ、複数の平面をひとつに集約する奥行きのない遠近法という表現であった

 

日本美術から影響を受けた装飾性とは、色彩が豊かな美しさではなかったんですね。

 

そうではなく、いろんなモチーフ(人や自然、動物など)を画面の中で同じようにならべて描く。色彩という意味の装飾ではなく、配置という意味での装飾性だったのです。

 

実際にこういう風に解説がされていますね。

 

ボナールは、日常風景や身の回りの人やモノを描くにあたり、それらを写実的にではなく、浮世絵など日本美術の影響を思わせる、奥行の無い平面的な描き方や、実際の風景にはない余白や空間を構図に用いる手法により、自分の内面や精神性を作品に表現しうる可能性を見出して、挑戦していた

 

ボナールは身近なものを描くときに、写真のようにそのままではなく、モチーフを歪めたり余白を付け足したりしたということですね。

 

あくまで絵画。

現実とはちがう世界が絵画の中にはあるのです。

 

奥行きのない平面」とか「実際の風景にはない余白」といったものが、浮世絵からのわかりやすい影響だったんですね。

 

そういった浮世絵の特徴をボナールは取り込んで、装飾性のある、見ていて美しいと思うような画面に仕上げています。

 

特に格子柄がきれいですよね。

この格子柄もどうやら日本美術の影響みたいです。